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日付:2014.01.08 更新日:2022.04.19
幸せ過ぎて怖くなる時がある。
目次
この時期になると、夏に引退した高校生達が進路の合格を報告に来てくれる。
みんな、インターハイの頃とも違う とびっきりの笑顔で来てくれる。
今夜も 寒い中 「先生!消防の試験 合格しました!」 と突然の来訪者。
伸びた髪の彼を見て・・・・彼の高校野球が終わった事を実感する。
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秋の虫が鳴き始めた頃だった。
三年生の夏が終わり、彼が消防士の実技試験を受ける一週間前のこと、
自転車で車と接触し、手首を挫いた。挫き方が悪かった。
「先生ならなんとかしてくれる」 そう言って、
全く動かない手首で彼は来院した。病院に行く前に ここに来たと言う。
腫れ、痛みこそ少ないが・・・嫌な臭いを感じた。
偶然居合わせたサワノさんも、嫌な臭いを感じ取った事を その表情で知る。
僕は精密検査を勧めた。
リトルリーグから見てきた彼が、酷く腫れ上がった捻挫や突き指、
打撲をして来院した時も、一度もそんな事を言ったことがないのに、
急に検査を勧めた事に彼は酷く驚いた。
「病院に行ってもシップしかくれないし、今 ギブスで固定されたら困る!」
そう言って、彼は病院に行くのを拒んだ。
「骨さえ着いてりゃ一週間で何とかするから、とにかく明日の一番で
学校サボって精密検査に行こう。」 と勧めるが首を縦に振らない。
「折れてもないのにギブス巻かれたら、そんなギブス斬ってやるから・・・」
必死に検査を勧めるが・・・僕は説得するのが下手だ。
ちょうど サワノさんが居てくれて良かった。
「どっちにしろ、その手じゃ何もできないだろ?
検査を受ければ心配が一つ減るだろ?」
彼は明日 朝一番で検査に行くと約束した。
検査の結果 “骨に異常なし”
治療前の手首の角度はコレで限界。 腫れも酷い。
足首の捻挫は立つ、歩く、走るができないから重症と自覚する事が多いけど、
手首の捻挫は軽く思われることが多い。
でも、細かい骨が多いから、見た目よりも重症な事が多い。
「試験に間に合いますか?」
「間に合わすと言って・・・間に合わせなかったこと あったかな?」
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その一週間後、「実技試験を受けられました。」の報告。
そして 今日 ・・・ 合格発表 (∩_∩)
嬉しいねぇ。。 こんなに嬉しい事はない。
100回闘えば、99回は負ける相手が居たとする。
ただ、試合で対戦したその一日、その一回だけ勝てればそれでいい。
その繰り返しが競技とするならば、
ここ一回の大事な場面に 期待に応える、ただその一回の為に・・・
その努力に選手が応えてくれた時 心から 「ありがとう」と言いたくなる。
幸せって・・・そう言うことなんだと思う。
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