|静岡県富士宮市 | 若葉治療院

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日付：2025.02.13 更新日：2025.02.19

座っている時間の長さと腰痛の関連性に関する最新のデータ

1. 背景

現代のライフスタイルは、長時間のデスクワークやリモートワークの普及により「座りっぱなし」が日常となっています。日本人は座位時間が世界最長7時間に達するという報告もあり、長時間の座位が腰痛のリスクにどのような影響を与えているかが注目されています。

（mediaid-online.jp）

2. 高齢者における腰痛と座位時間の実態

ある横断研究では、山梨県都留市在住の65歳以上の高齢者7,080名を対象に、国際標準化身体活動質問紙（IPAQ）を用いて座位時間や身体活動量を評価し、腰痛の有訴率との関連を検討しました。

結果の概要
- 回答者約4,877名中、腰痛の有訴率は約31.6%
- 高身体活動群では、後期高齢者において腰痛有訴率が低い傾向が認められた
- 一方、座位時間については「短い群（<480分/日）」と「長い群（≥480分/日）」に分けても、腰痛の有無との関連性は統計的に有意とはならなかった

この結果は、単に座っている時間だけでなく、座位中の姿勢や休憩の取り方、さらに全体の身体活動量とのバランスが腰痛のリスクに影響する可能性を示唆しています。

（my-zaidan.or.jp）。

3. 座位姿勢そのものの影響

長時間座位で作業する場合、座面の形状や座り方が腰部に及ぼす負担も重要です。

実験的検討例
- 座面が傾動する椅子（可動座面椅子）を使用した実験では、固定座面椅子と比較して脊柱起立筋の疲労指標（筋電図解析による周波数徐波化）が有意に低下したという報告もあります
- このことから、座位姿勢中に微妙な動きを取り入れることが、腰椎への持続的な負荷を軽減し、腰痛予防に寄与する可能性が示唆されます。

（ir.lib.hiroshima-u.ac.jp）。

4. 身体活動と腰痛の関連性

腰痛予防のためには、座位時間の短縮だけでなく、日常的な身体活動の促進が重要です。

複数の研究で、一定以上の有酸素運動（特に歩行を中心とした活動）が、腰痛の有訴率を低下させる効果が報告されています。
逆に、全体の身体活動量が低下していると、腰痛のリスクが高まることも示されています。

（jstage.jst.go.jp、medicalonline.jp）

5. 考察と今後の展望

現時点でのエビデンスは、単純に「座っている時間が長い＝腰痛リスクが高い」と一概には言えないことを示しています。

身体活動とのバランス
座位中の休憩やストレッチ、または立ち上がるなどの活動（ブレーク）が、座位中の腰部への負担軽減に有効である可能性があります。

座位姿勢の工夫
作業環境において、座面の傾動機能などを取り入れることにより、腰部の負担が軽減され、腰痛予防に寄与する可能性があります。

今後の研究
長時間座位と腰痛との因果関係については、縦断的な研究や介入研究が今後の課題として挙げられます。また、座位姿勢と身体活動全体の質的な評価を行うために、加速度計や筋電図解析といった客観的測定手法の活用が求められます。

結論

最新の研究では、高齢者を対象とした横断研究においては座位時間そのものと腰痛との関連性は明確には示されなかったものの、身体活動量が多い高齢者においては腰痛有訴率が低い傾向が見られています。また、座位姿勢の改善や定期的な休憩、ストレッチなどを取り入れることで、座位中の腰部への負担が軽減され、腰痛予防に役立つ可能性が示唆されています。今後は、座位時間、座位姿勢、及び全体の身体活動を統合的に評価した研究が、より詳細な腰痛予防策の構築に寄与するでしょう。