足底筋膜炎の治験(2012_07_11)
足底筋膜炎(足底腱膜炎)に対する治験を行いました。すぎシューズ、フットプリント、フォームなど、思いつく限りのデータを集め、治療前と後の比較を行いました。
その結果、足の裏にかかる圧の不良は、足だけでなく、全身のバランスの悪さによって起きている、すなわち、足底筋膜炎は「足の裏の筋肉の使いすぎ」と言われていますが、カラダのバランスが大きく影響していると私達に気づかせました。
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日付:2012.07.12 更新日:2022.04.19
競技はウルトラマラソン。主訴は 左足の踵の着底部の痛みです。
20分ほど全身を揉み解しましてから フットプリントをとりなおしました。
すると、フットプリントに変化が起こりました。
足の裏(アーチ)を対象に治療したのではなく、体の歪みを整えただけで足の裏にかかる加重配分は変化し、結果としてアーチはその表情をかえました。
これまでは、「アーチの落ちこみはインソールで補正する、もしくはインソールで防ぐしかない」そんな概念から、アーチの異常を治せる兆しを示唆するものでした。
昔から「足底筋膜炎にはインソール」を使った足底板療法が良いと言われています。
現在でもさまざまなインソールが販売されていますし、オーダーでインソールが作られています。
しかし、今回の結果は、足裏の圧の偏りは、足底板を使わずに補正出来る可能性を示唆しました。後の治療に大きな影響を与えた治療結果でした。
足の裏にかかる圧の不良は、足だけでなく、全身のバランスの悪さによって起きている、すなわち、足底筋膜炎は「足の裏の筋肉の使いすぎ」と言われていますが、カラダのバランスが大きく影響していると私達に気づかせました。
両足の爪をみました。右足の親指の爪が黒爪になっていました。他の指の爪もシューズに当っているような痕跡がありました(かじった様な跡)。
一番おおく使用されているシューズのインソールを外し、インソールにかかっている圧(足跡)を調べました。
インソールに着いている足跡調べました。
加重時で、 左足のサイズは 26.5cm、右足は 26cmでした。
使っているシューズのサイズを計測しました。
使っている練習シューズ、試合用のシューズ、ともにナイキの28cmでした。
〈関連記事〉 シューズの表記サイズと実際のサイズの違い│シューズ選びのコツ
捨て寸を 5mmとったとしても 27cm あれば爪はかじらないはずですが、爪が当っているのはシューレーシングや、シューラッピングに問題があります。
シューズには、通常「シャンク」といわれる部品が入っています。その基本となる構造は、革靴もスポーツシューズも同じです。シューズの背骨となる部品です。(図1:革靴のシャンクは金属製のパーツが使われています。)
シューズの捻じれを防ぐことで、足の裏の捻じれを減らし、足の裏にかかる負担を減らしたり、キック力を補助して推進力を助けます。シューズは通常、およそ前1/3の位置で曲がるように作られています。(図2)
この位置は、足の指が曲がる関節の位置になるように作られています。(MP関節)
それによって、登り坂で足の裏が引き離す外力を減らします。
足の指の曲がる位置と、シューズが適正に曲がる位置がずれると、シャンクのもつ機能が正常に働きません。
シューズによるサポーター効果を得られにくい為、結果、足底腱膜は引き裂かれる外力が増すことになります。シューズのサイズを見直すことも、足底筋膜炎を治す上で重要です。
足底筋膜炎の原因はアーチが落ち込むこと(偏平足になることで)、つま先立ちになる事で、足の裏の筋肉が引き伸ばされることによって発生すると言われていましたが、実際にフットプリントをとると、アーチの落ちこみはなく、むしろ立派なアーチがありました。〈関連記事〉足底筋膜炎を治す為の治験(1)│アーチの低下が原因ではない
私達は、全ての思い込みを捨てて、原因調査を行いました。
ランニングフォームを確認しました。左右の足の立脚期(片足立ち)のタイミングを並べてみます。
痛みがある足と反対の右足の立脚期で体が大きく右に傾きます。
1)フォームをみて解ったことは、体の傾き、つま先の向きの左右の差、体が向く方向など、
ランニングで重要なそれらの事が欠如していること
2)機材と環境の不足
フォームを連写するには一眼レフカメラでは連写速度が足りない事。
被写体がカメラから遠ざかってしまうので、望遠レンズでも限界がある事。
次に、体がなぜ傾くのか?それを調べる為に、シューズをもう一度調べることにしました。
シューズの裏は左足の小指側が摩耗していました。
私達は、シューズの中でインソールにどれだけの圧がかかっているか?解析する方法を独自に開発してありました。その方法で、インソールにどれだけの圧がかかっているか?解析してみました。
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今回使用していたシューズに入っていたインソールの、どこに、どれだけの圧がかかっているか?解析しました。
その結果は驚くべきものでした。
インソールを解析しました。
圧を解析すると、通常では目視・確認できなかったものが、写り込んでいました。
シューズのアウトソールに配置されたGPSセンサーを入れる為のプラスチック部品が、足の裏を突き上げていました。
足底筋膜炎は、アーチが低下することによって、足の裏の筋肉を引き離す事が原因と言われています。しかし、原因は体の問題だけでなくシューズも含めてみる必要があると改めて思いました。
Aの位置に隙間があるために、Bの位置で小指がインソールから落ちています。
Bの位置で小指がインソールから落ちると、シューズを履いて安定して立つことができません。
〈参考記事〉 こども達の靴の中では こんな事が起きてます。(2012_06_27)
小趾球が使えていないと足の裏の正しい荷重移動が行えない為、足底筋膜炎やシンスプリントを誘発します。
下図 赤〇の部分に圧が強くかかっています。
素足のフットプリントと比べてみます。素足のフットプリントと、インソールに着いたフットプリントに違いが出ました。
シューズの内側は平面ではなく、起伏に富んでいるためにできたシューズの形状が原因しています。
次に足首を調べました。
右足は真っ直ぐに上がっているのに対し、足の裏を痛めている方の左足は真っ直ぐに上がらない。(両足で背伸びした状態)
走ったときに体が傾くのは右足で立った時なのに、逆の現象が起きている事に頭を悩ませた。
そして、更に頭を悩ませたのは、体を全体的にほぐした後に同じ検査をすると、左の足首が治っていた事だった。
インソールの作り方を学ぶセミナーでは、治療前のように足が傾いてしまう場合、足底板の小指側に高さを持たせ真っ直ぐに立てるように直す必要があると教わった。それは、足の裏のアーチの低下は“治せないことを前提として”の学問が作られていた。
私達は、真っ直ぐに立てなかった足が、真っ直ぐに立てるようになった治療の結果を見て、アーチを治したとは考えずに、曲がっていた足首を治したのだと思い込んだ。
足の裏の痛み(足底筋膜炎)の原因は、足の裏のアーチが落ち込んで引き起こされるとされていたが、
その現実から考察し、足底筋膜炎の原因は、アーチの低下、異常ではなく、足首の曲がり、構造的異常が引き起こしているのではないか? そう考えるようになりました。
私達は、足首の歪みに対する調査を始めました。 (Reweite 2018_11_05)
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